グラスの中で透明な水の上に琥珀色のウイスキーがふわりと浮かぶ、視覚的にも美しい飲み方が「ウイスキー・フロート(Whiskey Float)」です。
なぜ混ざらないのか不思議に思うかもしれませんが、これは「水よりもアルコール(ウイスキー)の方が軽い(比重が小さい)」という性質を利用したものです。
フロートの最大の魅力は、「1杯の中で味の変化(グラデーション)を楽しめること」にあります。
飲み始めはウイスキー本来のガツンとした「ストレート」の味わいを楽しみ、飲み進めるうちに下層の水と混ざり合い、徐々にまろやかな「水割り」へと変化していきます。
この記事では、ご自宅でも失敗せずに美しい2層を作るためのプロのコツと、フロートをより一層美味しく楽しめるおすすめのウイスキー銘柄をご紹介します。
用意する道具と材料
フロートを成功させるための必須アイテムは「バースプーン(マドラー)」です。これがないと綺麗に層を作ることができません。
- ウイスキー: お好みの銘柄(※おすすめは後述します)
- ミネラルウォーター: 冷たく冷やした軟水がおすすめです。
- 氷: グラスにぴったりと収まる、大きめのロックアイスや丸氷。
- グラス: ロックグラス、または少し背の低いタンブラーグラス。透明度が高いと層が美しく見えます。
- バースプーン(マドラー): (※必須)ウイスキーをそっと注ぐためのクッションとして使用します。スプーンの背が平らなものが使いやすいです。
ウイスキー・フロートの作り方(レシピ)
水とウイスキーの黄金比は「水 7 : ウイスキー 3」が目安です。ウイスキーを注ぐときの「優しさ」が成功の鍵を握ります。
- グラスに氷を入れる
- グラスに大きめの氷を入れます。氷のてっぺんが、少しだけ水面から顔を出すくらいのサイズ感が理想的です。
- ミネラルウォーターを注ぐ
- グラスの7分目くらいまで、冷やしたミネラルウォーターを注ぎます。この後、水が落ち着くまで数秒待ちます。
- バースプーンをセットする
- グラスの内側、水面のすぐ上の位置に、バースプーンの背(丸く出っ張っている方)を上にむけてそっと添えます。
- ウイスキーを「そっと」注ぐ
- バースプーンの背中を伝わせるようにして、ウイスキー(約30ml)をゆっくりと静かに注ぎ入れます。氷のてっぺんに直接当てて、そこから優しく伝い落とす方法でも綺麗に浮かびます。
- 混ぜずにそのまま完成!
- 綺麗な2層ができたら大成功。絶対にマドラーで混ぜず、そのまま口に運んでください。
フロートにおすすめのウイスキー3選
フロートにする場合、水の上に浮かんだ時の「色の美しさ(琥珀色の濃さ)」と、ストレートから水割りへと変化しても味がぼやけない「骨格のしっかりした銘柄」がおすすめです。
1. シーバスリーガル 12年
「スコッチのプリンス」と呼ばれる名酒。華やかなハチミツや青リンゴのような香りが特徴です。飲み始めのストレート状態では芳醇な香りをダイレクトに感じ、後半の水割り状態になると驚くほどスムーズで甘い口当たりに変化するため、フロートの醍醐味を存分に味わえます。
2. ジャックダニエル ブラック
アメリカを代表するテネシーウイスキー。チャコール・メローイング(カエデの炭でのろ過)による、バニラやキャラメルのような独特の甘い香りと、しっかりとした濃い琥珀色が特徴です。色合いが濃いため水とのコントラストが非常に美しく映え、味わいも水に負けません。
3. サントリー 碧 Ao
世界5大ウイスキーの原酒をブレンドした革新的な1本。非常に複雑で豊かな風味を持っており、飲み進めて水と混ざり合うにつれて、スモーキーさ、フルーティーさ、バニラの甘みなど、様々な表情が万華鏡のように変化して現れます。フロートで飲むと毎回新しい発見があるウイスキーです。
注意点:かき混ぜるのはNG!そのまま味わおう
ウイスキー・フロートを出されると、ついマドラーでぐるぐると混ぜてしまいたくなりますが、それはNGです!混ぜてしまっては、ただの水割りになってしまいます。
まずはグラスを傾け、上層のウイスキーだけをストレート感覚で味わいます。次に、グラスを傾ける角度を少し深くして、ウイスキーと水が口の中で混ざり合う感覚を楽しみます。そして最後は、自然に混ざり合ったすっきりとした水割りを飲み干す。この一連のストーリーを楽しむのが、フロートの正しい作法です。
アルコール度数の高い部分から飲むことになるため、お酒に弱い方はチェイサー(別のお水)を用意して、自分のペースで楽しんでくださいね。
